八 ッ 場 ダム 台風。 八ッ場ダムのおかげで「利根川が助かった」は本当か 識者らに見解を聞く: J

台風で活躍も「カラカラ状態」だった八ッ場ダム 橋下徹氏が疑問も

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写真=iStock. - 写真=iStock. com/Elen11 お亡くなりになられた方々がいらっしゃるので100%完璧だと評するわけにはいかないが、交通機関などの計画運休や、メディアを通じての情報発信などの官民の対応は、ある程度しっかりできていたんじゃないかと思う。 過去の経験や失敗を踏まえて確実に対応のレベルが上がっている。 やっぱり日本って凄いな、と感じた。 そんな中でも、52の河川で堤防が決壊し、100を超える河川で水が堤防を越える氾濫が生じたという。 特に、千曲川流域の堤防決壊による長野市内の浸水は甚大だ。 また、水を貯めきれなくなり、流入する水をそのまま放出する緊急放流を行なったダムが6カ所あったという。 このような水害を目の当たりにして、治水対策をもっとやれ! という声が強まっている。 旧民主党が政権を獲った際、マニフェストに書いているからという理由でいきなり前原誠司国土交通大臣が中止宣言をやった群馬県の利根川水系の八ッ場(やんば)ダム。 地元住民や地元自治体が前原さんの中止宣言に猛反対の声を上げ、国土交通省が検証した結果、結局、八ッ場ダムは建設することになった。 この八ッ場ダムが、今回、しっかりと水を貯めて、利根川水系の堤防決壊や氾濫を防いだ! ダムのおかげだ! やっぱりダムが必要だったんだ! という声が上がっている。 しかし、ここはしっかりとした検証が必要だ。 というのは、八ッ場ダムは来春の本格運用に備えて、現在試験運用段階だった。 ちょうどダム湖内の水位を最下限まで落として(試験湛水)、そこから水を貯める状況だった。 そんな中での今回の台風。 八ッ場ダムはしっかりと水を貯め込んだけど、そのとき八ッ場ダムは、ある意味カラカラの状態だった。 もし通常の水位だったら、今回ほど水を貯めることができたのか。 もしかすると水を貯めきることができずに緊急放流をしなければならなかったのか。 つまり、今回はたまたまカラカラの状態の試験運用段階だったから水を貯めることができたのか。 昨年2018年7月の西日本豪雨。 愛媛県の西予市の野村ダム、大洲市の鹿野川ダムで緊急放流が行われて下流の肱川流域が氾濫し、5人の死者が出た。 (略) 緊急放流すれば下流域で河川の氾濫や堤防決壊が生じるかもしれない。 しかし緊急放流しなければダム決壊が生じるかもしれない。 どちらを選んでも地獄であり、それでもダム決壊を避けるために選ばざるを得ないのが緊急放流だ。 (略) ダムは水を貯めるということで、通常は安全・安心を得られる。 しかし、限界を超えた時にはリスクが爆発する。 確かに八ッ場ダムは、今回はしっかりと水を貯めてくれた。 ただし、それは八ッ場ダムの本来の力なのか、それとも試験運用をやっていたからというたまたまの偶然だったのか。 すなわち通常運用時であれば水を貯めきることができず、やはり緊急放流が必要だったのかの検証が必要になるだろう。 八ッ場ダムがあったから助かった! という安易な単純思考ではダメだ。 川幅を広げたり、川底を深くしたり、堤防を強化したりすることだ。 (略) 現実には、ダム建設と河川改修とをミックスした治水計画が作られる。 ただしその際の河川改修は、担当役人がそこそこ実現できるものに限定され、困難が予想される河川改修は回避されて、その分はダムによる治水に回される。 そしてこの治水計画においては、必ず「想定雨量」というものが机上において決められ、人が一生に一度経験するような雨に耐えられる計画が立てられているが、それはあくまでも机上の論であって、その想定を超える豪雨が現実に発生している。 つまり最近の大豪雨の事態は、治水計画の想定を超えるようなものになっている。 想定を超える事態においては、リスク爆発の危険がある緊急放流をやらなくてもいい河川改修による治水の方がベターだ。 そしてダムによる治水の場合には河川はそのまま放置されることが多いが、河川改修による治水だと水がきちんと流れることを重視するので、想定を超える事態になっても堤防決壊という最悪の事態を避けることができる可能性が高くなる。 河川の水が堤防を超えても、それが一時的なものであれば(氾濫)、まだ被害は小さく、回復も早い。 最悪なのは堤防の決壊だ。 決壊してしまうと水がとめどなく街に入ってきてしまう。 ゆえに、堤防の決壊という最悪の事態を避けるためには、緊急放流がなく、河川の弱点についてきちんと整備する河川改修による治水の方が相応しい。 本来、河川の弱点をきちんと整備しなければならないところ、河川のリスクはダムに貯め込むということで、河川の弱点の整備が軽視されてしまう。 河川の弱点とは、川幅が急に狭くなったり、支流が合流したり、屈曲がきつくなったりすることで、水量が多くなったり水の流れが悪くなったりする地点だ。 机上の論通りに河川の水位を抑えることができたとしても、河川の弱点のところで堤防決壊を招いてしまうことが多い。 歴史をたどれば、河川の氾濫箇所、堤防の決壊箇所はだいたい同じ地点になっている。 そして堤防の強度というものは客観的に正確に計測できるものではなく、机上の論で計算した水位に抑えたとしても確実に堤防を守れるわけではない。 ところがダムに頼る治水は、水位を抑えることが中心となってしまい、堤防を含めた河川自体を強化する思想になりにくい。 この点がダムに頼る治水の根源的な問題だ。 だから河川改修による治水を原則とし、莫大な時間と手間暇とお金がかかったとしても、これからは河川自体を強化する治水に力を入れるべきというのが僕の持論だ。 (略) 橋下 徹『トランプに学ぶ 現状打破の鉄則』(プレジデント社) 大阪の槇尾川ダムは、建設工事に着工していたにもかかわらず中止し、河川改修による治水に切り替えた。 大阪府庁の担当役人たちが、その河川改修案を必死になって実現してくれた。 住民との合意を徹底してやってくれた。 そして、かつては曲がりくねり、堤防も脆弱だったあの槇尾川上流域が、びしっと河川整備された。 街自体が完全に生まれ変わった。 驚くばかりの街の変化だ。 僕は政治家を辞めた後に、現地を訪れて、かつて激しく対立したダム建設推進派の住民の皆さんと久しぶりにお会いした。 大阪府の職員から街の現状の説明を受けて、住民の皆さんと意見交換した。 そのとき、「橋下さん、ダムを中止してほんまによかったわ。 今この街の方が本当に安全・安心を感じるで。 ほんまこの街は、これまで雨にうなされていたからな。 何より将来世代に水害に強い街を残すことができたのが一番やわ。 でもな、あんときの橋下さんやったからこっちもエキサイトしたんや。 今日のような橋下さんやったら、あんときもう少し冷静に話ができたやろうけどな」と言われた。 苦笑いしつつ、ほんと嬉しかった。 (略) これからの治水行政は、莫大な時間、労力、お金がかかろうとも、やはり河川改修による治水の方に力を入れていかなければならない。 都市部で人口が密集しているところであっても原則は河川改修による治水だ。 今回威力を発揮した話題の東京の地下放水路は、地上の土地買収が難航することから地下に河川を作ったようなもので、これも河川改修による治水の一環だ。 171(10月15日配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。 ---------- 橋下 徹(はしもと・とおる) 元大阪市長・元大阪府知事 1969年東京都生まれ。 早稲田大学政治経済学部卒業後、大阪弁護士会に弁護士登録。 98年「橋下綜合法律事務所」を設立。 TV番組などに出演して有名に。 2008年大阪府知事に就任し、3年9カ月務める。 11年12月、大阪市長。 ---------- (元大阪市長・元大阪府知事 橋下 徹) 外部サイト.

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八ッ場ダム本体着工〜カスリーン台風から68年目

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ネットでは「絶賛」相次ぐが... ダムには、田畑に水を送ったり、発電をしたりする「利水」、河川の氾濫を防ぐために、流れる水量を調整する「治水」の役割がある。 本格的な運用を控え、八ッ場ダムでは10月から試験湛水を始めていた。 国土交通省関東地方整備局の発表資料によると、10月11日2時から13日5時にかけて、約7500万立方メートルの水がたまり、水位は約54メートル上昇。 15日18時ごろに、満水の標高583メートルになり、貯水率が100パーセントとなった。 建設をめぐっては地元から根強い反対があり、旧民主党政権時代には一時「凍結」されるなど(その後、やはり旧民主党政権の野田佳彦内閣で再開が決定)、複雑な紆余曲折を経てきたことで知られる八ッ場ダム。 それだけに今回、日本列島を襲った台風19号で、八ッ場ダムの水がたまったことなどをめぐり、ネット上では 「台風19号では八ッ場ダムのおかげで洪水が防げました」 「八ッ場ダムのおかげで利根川が助かった」 「利根川氾濫を抑えたのは間違いなく八ッ場ダムのおかげ」 「今回、試験湛水中なのに頑張ってくれた八ッ場ダム。 八ッ場ダムのおかげで利根川は守られた」 「今回の利根川の被害を観てみれば、造って護られた結果が出たのは事実(中略)ダム反対運動してる団体は反省してよく考えるべきかと」 など、「称賛」の声が相次ぐ一方、 「利根川への洪水調節効果はほとんどないものと思われる」 「ネット情報に振り回されることなく、効果は慎重に検証した方が良い」 などの声も上がっていた。 首都圏への効果は「3%」? 八ッ場ダムは、どれくらい治水効果があったのか。 2人の識者に話を聞いた。 ダム建設への反対運動に取り組む「水源開発問題全国連絡会」の遠藤保男共同代表によると、八ッ場ダムの治水効果は、河川の下流に行くほど「どんどん薄れる」という。 「本当にどのくらい効果があったのか数値的に言うのはなかなか難しい」とした上で、「今まででわかっていることからすると、何トンぐらいの流量で放流したかにもよるが、せいぜい首都圏に対しての効果は、3パーセントぐらいしか調節した効果にしかなっていない」と指摘する。 「ダムの直下あたりなら、それなりの効果はあったと思うが、恒常的にあんな効果が出るかと言ったら全く大間違い。 水がたまってなくて空の状態から始まったから、かなり(水を)ためることができた」。 また、「ダムが調節できるだけの雨であれば効果は上がるが、そんなことめったにない」と主張。 「間に合わないと緊急放流しなきゃならなくなる。 オーバーフローしてしまう。 ダムで調節する前提で川を整備していると、ダムで調節しきれなくなった水がきた場合には、想定したよりもはるかに被害が大きくなる」と訴える。 「八ッ場ダムが果たした役割は評価してもいいんじゃないか」 環境史・土地開発史・災害史を踏まえた上での災害リスクマネジメントが専門の、立命館大学環太平洋環太平洋文明研究センター・高橋学教授は、「今回はたまたま実験貯水段階で、ほとんど空だったラッキーさもあった」と指摘する一方、「八ッ場ダムが果たした役割は評価してもいいんじゃないか」と語る。 高橋氏は、「関東平野の場合、あまり山がないので、台風の風が吹いてきた時、山に当たって、上昇気流になり雲になって雨を降らす。 関東平野の真ん中では雨は降るが、上流側の方がはるかに雨は降りやすい」と置かれた環境に触れ、「八ッ場ダムは割と上流の方にあるのが特徴。 上流で降った雨を八ッ場ダムでほとんどせき止めてしまえた。 雨が八ッ場ダムの近くなどに集中することを踏まえておかないといけない」とする。 また、高橋氏は、茨城、栃木、群馬、埼玉4県境にまたがり、洪水の際に下流へ流れる水量を減らす役割を担う渡良瀬遊水地にも触れた。 国土交通省関東地方整備局の発表(速報値)によると、渡良瀬遊水地は、台風19号に伴う雨で、約1. 6億立方メートルの洪水をためた(下野新聞によれば最大貯留量の95%)。 朝日新聞の報道(10月14日)によると、識者が上空から河川の氾濫状況を分析。 渡良瀬遊水地に大量の水が流れ込んだという。 高橋氏は、「関宿で川が2つに分かれていて、1つが江戸川になって東京湾にそそぐ。 渡良瀬遊水地が一杯ということは、少しでも利根川支流の吾妻川(八ッ場ダムの方の水)が増えると、江戸川水系に水が流れ込んでしまうことが考えられる」とみる。 「そうした(流れ込んだ)場合、荒川や江戸川にしろ、東京の下町は危険水位まで達していました。 危険水位に達していない時であれば、大した問題ではない。 問題は、デッドラインまで達していた時です。 渡良瀬遊水地が一杯一杯で使えないとなると、利根川上流からもう少し水が流れてきていたら、現在の利根川水系ではなくて江戸川水系に水が流れ込んで、東京の下町をほとんど水没させただろう。 デッドラインぎりぎりのところまで水が来ていたことで、八ッ場ダムの果たした役割は重要」と八ッ場ダムを評価する。 「土地利用のことを考えず、ダムの効用だけで議論してはだめ」 一方、高橋教授は、「土地利用のことを考えず、ダムの効用だけで議論してはだめ」と語る。 「以前であれば、八ッ場ダムみたいなものはなくても大丈夫だった。 関東平野に水田が広がっていて、水田そのものに10センチ水がたまれば、八ッ場ダムの水ぐらい簡単にクリアできる。 ところが、水田やため池がどんどんなくなっていき住宅地がどんどんできていった」 とした上で、2つの問題点を挙げた。 「1つは水田にためていた、あるいはため池にためていた水がためられなくなった。 もう1つは、そこに盛り土をして家を建てているから、非常に危険なところに家がたくさん建っているということ」。 高橋氏は、「本来人が住むべきでないところに、たくさん住宅ができており、見渡す限り住宅になっている。 本来だったら水をためられた水田がなくなってしまい、危ないところにどんどん家が建っている。 その2つの意味で危険性が増していた」と言及。 「下流の方の渡良瀬遊水地もデッドラインに達している。 極端にいうと、コップ1杯の水でも増えれば堤防を水が越えてしまうかもしれない状況で、荒川や江戸川が氾濫しなかった、墨田川も氾濫しなかった点、八ッ場ダムが果たした役割は評価してもいいんじゃないか」としつつ、「トータル」な視点で、物事をみる大切さにも言及。 「土地利用の仕方や雨の降り方なども考慮に入れないと。 サイエンスとして洪水や災害を捉えようとした場合、人間の土地利用の在り方が大事なんですね。 そこにどれだけの人口密度があるか。 それを考えないで、ダムの効用を議論するのは意味がないことだと思う」.

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八ツ場ダムは本当に利根川の氾濫を防いだのか?

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国土交通省関東地方整備局が「令和元年台風19号における八ッ場ダムの試験湛水状況について」を記者発表しました。 嶋津暉之さん(当会運営委員、元東京都環境科学研究所研究員)が国交省が発表した数字を踏まえ、八ッ場ダムの貯留能力について考察した論考を紹介させていただきます。 ~~~~~ 上記の記者発表によれば、今回の豪雨で八ッ場ダムに貯留した洪水は7500万㎥です。 八ッ場ダムの洪水調節容量は6500万㎥ですから、1000万㎥も上回っていました。 試験湛水の初期段階であったので、1000万㎥オーバーの貯留が可能だったのです。 八ツ場ダムの貯水池容量の配分は以下の図の通りです。 下の方から計画堆砂容量1750万㎥、洪水期利水容量2500万㎥、洪水調節容量6500万㎥で、総貯水容量は10750万㎥です。 貯水池の運用で使う有効貯水容量は、堆砂容量より上の部分で、9000万㎥です。 下図=より 記者発表によれば、八ッ場ダム湖の貯水位は今回の台風の影響により54m上昇し、573. 2mになったということです。 台風による豪雨前の貯水位573. 2mー54m=約519mは上記の貯水池容量配分図をみると、計画堆砂容量の上端(最低水位)536. 3mより17mも低いレベルです。 つまり、今回の豪雨では、本格運用では使うことができない計画堆砂容量のかなりの部分を使い、さらに、利水のために貯水しておかなければならない洪水期利水容量2500万㎥も使ったために、7500万㎥の洪水貯留が可能であったということです。 本格運用で使える洪水貯水容量の上限は6500万㎥ですから、今回の豪雨で八ツ場ダムが本格運用されていれば、満杯になり、緊急放流(流入水をそののまま放流)をしなければならない事態でした。 利根川の場合は、7月1日~10月5日が洪水期とされています。 (参照:) 八ッ場ダムの本格運用が始まると、10月6日から水位を上げて洪水調節容量の空きを減らしていきますから、10月中旬の台風襲来時には、洪水を調節できる容量が6500万㎥よりもっと小さくなっています。 雨の降り方によりますが、10月に入って雨が降り続いて、貯水位がかなり上昇した後に今回のような台風がくれば、八ッ場ダムが緊急放流を行う時間はかなり早まることになります。 国交省による八ツ場ダムの貯水池運用の計算例(2004年*)を以下に示します。 この例では10月中頃には貯水量が5500万㎥になっており、満水の9000万㎥までの空き容量は3500万㎥に減っています。 このような状態で今回のような豪雨が来れば、八ツ場ダムは短時間で緊急放流する事態になり、ダムの治水機能はほとんどなかったことになります。 *2012年度に関東地方整備局は八ツ場ダムによる東京電力㈱発電所の減少発電量を計算しました。 その計算に使用した1998~2007年の八ツ場ダム運用計算結果のうち、2004年分を取り上げました。

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